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実録 ナースのお仕事

      2015/09/23

観ました。
『救命センター新人奮闘記』
日本テレビの『アンテナ22』という番組でやっていたものです。
ビデオに撮っていたのですが、忙しくて今日まで観られませんでした。
なかなか良かったですよ。

舞台は、東京の聖路加国際病院。
明治時代から続く名門病院で、地下鉄サリン事件のときにたくさんの患者さんが運ばれたことで有名です。
小児科などの一部を除いて全ての病室が個室。
当然、差額ベッド代をとります。
金に糸目をつけない分、高度な医療が求められる病院ということでしょうか。

そのなかでも特に忙しく厳しい「救命救急センター」に配属された新人看護師を追ったドキュメンタリー番組です。
(「看護師」という表記が正しいのですが、どうもなじめないので、以下「看護婦」「看護士」にします)
唐箕さんという、なかなか綺麗な看護婦さんが主人公です。
小学校時代に阪神大震災を経験し、
助け合う人たちの姿を見て「看護婦になりたい」と決意してから10年、
自ら望んで救急救命の現場に立ちました。
配属された初日、ぎこちない笑顔が唐箕さんの顔に張り付いていました。
あれは多分、愛想笑いではないと思います。

何もできない、
何もわからない、
しんどい、
こわい、
だけど一生懸命やっているんだ!
そういう時、人間ってああいう表情しかできないんじゃないかな?

患者さんの前に行っても、
薬を取りに行っても、
先輩に怒られているときでも、
どこを見たら良いのか、
どこに意識をおいたら良いのか、
何に注意すべきなのか、わからない!
わからなくて目が泳ぐ。
それを隠すために、ぎこちない笑顔になってしまうのだと思います。

印象に残ったのは、心臓も呼吸も止まった40代の主婦が運ばれてきたシーン。
心臓マッサージも初めての経験だった唐箕さん。
懸命の処置もむなしく、その患者さんは30分後に亡くなられました。
残されたのは、治療のためにハサミで切り裂かれた水色のエプロン。
処置室の外で、唐箕さんが立ちすくんでいました。

私も、当直しているときに、救急車で運ばれてきた男性がそのまま亡くなられた経験があります。
就職して4カ月、2回目の当直のときでした。
救急室から出てきた看護婦さんが患者さんの奥さんに小声で何か話しかけ、
そのとたんに奥さんが泣き崩れたシーンを、今でもよく覚えています。
ただの受付の事務職員だった私でさえ、相当なショックがありました。

以前、回復期リハビリ病棟を見学したときに、その病棟の看護婦さんが言っていました。
「確かにこの病棟は“走り回る”という点で体力的にしんどい。でも、“患者さんが死ぬことはない”という点で、精神的にはかなり楽」。
(詳しい説明は省きますが、急変すると転科させるので、この病棟で患者さんが亡くなることはほとんどないのです)
何年経験しても、何人の死を看取っても、
やはり患者さんの死は辛いものなのだそうです。
何年か前に、私のいる病院で私の知り合いが亡くなりましたが、
そのときも看護婦さんは泣いていました。

そんな苦悩を乗り越えて半年たったとき、
ずいぶんしっかりした表情になっていましたね、唐箕さん。
患者さんをまっすぐ見据えて、
はっきりした声で話しかけていました。
2カ月目のとき、「辞めようかな……」とつぶやいていたのと対照的でした。
「この人の病気を診るのは医者の仕事。この人のすべてを見守るのが看護婦の仕事」。
そう言う唐箕さんの顔に、自然な笑顔が戻っていました。

番組の最後に出ていました。
昨年春、看護師の資格を取った人は44,137人。
全員が職に就いたとして、
日本医療労働組合連合会の報告と照らし合わせると、
既に4,000人が退職していることになります。
4,000人の若者が、1年もたたないうちに憧れの白衣を脱いだのです。
辞めた理由はさまざまでしょうが、
あの過酷な現場で1年間耐えられたということは、
それだけ可能性が広がるということだと思います。
唐箕さんをはじめとした多くの若い看護婦・看護士さん、
日本の医療を支えて行くのは、あなたたちです。
これからもがんばってください。

P.S. 番組内では他にも新人看護士が紹介されていましたが、煩雑になるので省略させていただきました。

      

 - 日常

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