先日、久しぶりに親しい医者の顔を見てきました。
いえ、病院にかかったわけではないんですがね、ちょっと用があって。
青白い顔をしていました。
患者が、ではなくて医者が。疲労が原因です。
「今度釣りに行くとき、誘ってくれ」と私に言いましたが、当直と日直で埋まったスケジュールを見ると、いつ誘えばいいのかわかりません。
彼には休養が必要です。

先月まで倉敷の病院で研修をしていたんですが、着任を祝う花見では健康そうな顔をしていました。
それが数週間で患者と同じような顔になるとは、うちの病院が如何に医者を酷使しているか、わかるというものです。
医師の数が足りていないのがそもそもの理由で、だからこそ彼の着任を皆が待ちわびていたわけですが、これでは彼の健康状態が心配になってきます。
お願いだから倒れないでね。
法律に詳しい知り合いが「開業医でない勤務医は、高所得者ではなく、ただの長時間労働者だ」って言っていましたが、まさにその通りです。
昼間外来患者を診て、受け持ちの入院患者を診て、夜当直して、また次の日外来に出る。
そういったことが日常茶飯事で、しかも特定の医師に負担をかけてしまっています。
完璧に労働基準法違反です。
うちの病院に限ったことではなく、200床前後の中規模病院では当たり前のことになっています。
朝日新聞によると、日本は外国に比べて病床数が多く、それが医師不足を招いていると書いてありましたが、患者の数について言及していないのが不思議でした。
目の前の患者を無視して、ベッドがないから医師が少なくてすむというのは本末転倒だと思うのですが。
医療にかかるお金が年々高くなるから、患者の負担を増やして病院にかかりにくいようにしよう。それが今の政府が狙っていることです。
朝日新聞の記事と似たような倒錯を起こしていると思います。
原因と対策が逆転しています。
そんなことが問題なんじゃないのに。

かつて「医者の不養生」とは、医師本人が自分の健康を省みないことを指していたと思いますが、今は自分の身体を気遣っている暇すらないのが現状です。
どこかのドラマに出ていた教授のように、選挙や外国での演説に現を抜かしているようなゆとりは、少なくとも私の友人にはありません。
せめて釣りくらいは連れて行ってあげようか。
昨日、雑誌の記者がいいところを教えてくれたから、連休中に行こう。