アメリカ行 その8

NPT

(左写真は夕食メニュー)
ハンフォード風下地区住民との交流会(つづき)
一方で、「政府のために働いているんだから、文句を言うなんてもってのほか」という意識の強い住民も多く、政府や会社(実際に核施設を運営しているのはエネルギー省と契約した民間の会社)を告発することへの敵対行動も激しいようです。元従業員の一人は「会社を辞めたとき、嫌がらせがひどかった。この地で活動するには非常に勇気がいる」と話されました。放射性廃棄物などの管理方法への抗議の意味で核施設への道路を人の鎖で封鎖したとき、11人が逮捕されたそうです。いずれも釈放されましたが、これが自称「自由の国」の現状です。
放射性廃棄物などの影響で体調を崩した地域住民からの発言も相次ぎました。最後にジューン・ケーシーさんの発言がありました(左写真参照)。ケーシーさんはグリーンラン実験などで多量の放射線を浴び、重度の甲状腺機能低下、流産、死産、乳がん、皮膚がん、永久脱毛などの病気にかかっています。乳がんの手術は2回受けたそうです。カツラをかぶっていますが、夫の前でも脱いだことがないそうです。
自分自身の身体のことだけでなく、頭の異様に大きな赤ちゃん、膝から下がすぐ足になっている女性、両腕のない絵描き、目がひたいの真ん中にひとつしかない赤ちゃんなどのスライドを紹介し、「あと何人のこのような子どもたちが生まれなくてはならないのでしょう」と、核廃絶を強く訴えられました。スライドを写真に撮ろうかとも思ったのですが、ファインダー越しに正視することができませんでした。
この日、交流会が終わったときは夜11時を回っていました。日本から遠路飛んできた参加者たちは皆さん疲れていましたが、地元の人たちの熱い訴えに感動したという感想が多かったようです。4時間近くにわたってたった一人で同時通訳した朝戸理恵子さんも傍目にも辛そうでしたが、おかげで貴重な経験を共有することができました。感謝したいと思います。

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