アメリカ行 その9

NPT

2日目(4月28日)
コロンビア川からハンフォードを見学
この日は朝7時15分にロビーに集合し、ホテルのすぐ裏にある桟橋からボート2艘に分乗。コロンビア川をさかのぼりながらのクルージングでした。
私の乗ったボートで案内をしてくれたのはトム・カーペンターさん。明日紹介する写真の右上に写っている男性です。通訳は昨夜と同じ朝戸さんでした(寒いので毛布を羽織っています)。カーペンターさんは「政府に説明責任を求めるプロジェクト(GAP)」の西海岸支部代表で、ハンフォードでの内部告発者(ホイッスル・ブロアー=警笛を鳴らす人)を法的に保護する活動などをされています。
もう1艘のボートには、ハンフォード初の内部告発者ケーシー・ルードさんがガイドに乗り、通訳に、シアトルで活動している日本山妙法寺のお坊さん、左上の写真に写っているカネエダセンジさんが担当しました(妙法寺は日蓮宗の一派で日本に約150のお寺があります。アメリカでの平和活動にもよく名前が出てきます)。
はじめに見えてきたのは、川岸に設置された大きな取水施設でした。住民のための設備なので、リッチランドの街より上流にありますが、核施設の一番下流にあります。続いて、船で運んできたプルトニウムなどを吊り上げる巨大なクレーンが見えました(左写真)。ソ連の原子力潜水艦をシアトルの港で解体し、中の原子炉をここまで運んできたこともあるそうです。さらに進むと、「300エリア」と呼ばれる様々な施設が集合した場所が見えました。このあたりから上流には、川岸にいくつかの色の違う札が立ててあり、「政府の敷地です」とか「汚染されています」などと書かれています。

このあたりでもう1艘のボートがエンジントラブルを起こし、何人かを私たちのボートに移したあと、陸に帰っていきました(左写真)。前日、共同墓地へ行ったときにもバスが砂地にはまり込んで動けなくなるというトラブルがあり、誰かが「陸上、水上、と来たから次は空の上?」と不吉すぎる予言をしましたが、幸い空の上では何もトラブルは起こりませんでした。
核施設内には、放射性廃棄物などを普通のドラム缶に入れただけで埋めてある場所がたくさんあり、それらが地下水に流れ出ています。放射性物質のひとつであるトリチウムの許容範囲は1リットル当たり2万ピコキュリーなのですが、このあたりの地下水には800万ピコキュリーのトリチウムが含まれていたそうです。さらに信じがたいことに、「Dアイランド」と呼ばれる中州には、使用済み核燃料棒が流れ着いていたことがあるそうです。

(つづく)

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