街道をゆく

昨年末に朝日新聞で紹介されて以来、気になっていた雑誌をようやく入手できました。
朝日ビジュアルシリーズ・週刊『街道をゆく』です。
故・司馬遼太郎さんが25年にわたって書き続けた名作『街道をゆく』のエッセンスを、写真や他の作家のエッセイと共に紹介しているものです。
文庫本の『街道をゆく』もいろんなところで薦められているので、一度読んでみたいとは思っているのですが、なにしろまったく不案内な土地ばかりでイメージがわかず、2巻で飽きてしまったのです。
『NHKスペシャル』を収めたDVD・BOXの購入も考えてみましたが、全部そろえると10万円近くするし・・・。
でも読んでみたい。
で、週刊誌ならなんとかなるかなと。

おとといが発売日でした。
特に創刊号が、私の大好きな坂本竜馬の脱藩した道を辿ったものだったので、端から端まで読んでも興味が尽きません。
写真もすごくきれいです。
司馬さんの文章もやわらかくて心に染み込んでくるものばかりなのですが、それ以外でひとつ、沢木耕太郎さんが実際に竜馬の足取りを、歩いて(司馬さんは車)辿って書いたエッセイが印象に残りました。
著作権が気になるので、結びの文章だけ紹介します。

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  私も彼ら(竜馬たち)と同じような気持ちになって韮ヶ峠を越えて歩いてみることにした。そのとき、私にもひとつわかることがあった。彼らにとって、「脱藩」とは、自由な未来に向かって歩いていくことであったと同時に、険しい峠を登り切る素朴な喜びを味わうことでもあったのだな、と。
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きれいな里山の写真と並んで掲載された文章を読んでいるうち、ふと、まったく関係ない自分の小学校時代を思い出してしまいました。

私が小学生のころ、夏休みになると島根の親戚の家に家族揃って旅行に行っていたのですが、そのときの中国山地の景色を思い出したのです。
あのころは、くねくねした山道を4時間近くかけて越えたものでした。
今なら浜田道を通っていけば2時間もかからないですけどね。
朝早く家を出て霧の中を走り、誰もいない木造の町役場で遠慮がちに休憩し、青い空と真っ白な入道雲に日本海の雄大さを想像しながら、緑深い山道を家族5人で長いこと車に揺られていました。
すごく先の長い、ちょっと怖いくらいの冒険に出るほどの覚悟をして越えていたような気がします。
あのときの風景は、今でもワンシーンごとに私の記憶にはっきりと収められています。
そうそう、あのころはおばあちゃんも一緒でしたね。
「トイレが近いけぇ、長い時間は走れんし、ジャマになるといけんけぇ、ワシャ行かんほうがええじゃろ」というのを、半ば無理やり引っ張り出していましたが、絶対に一緒に行って良かったと思っています。
さらに私の父は、あの名車「てんとう虫」以来、今に至るまでずっとスバルの軽四に乗っているんですが、あの時はさすがに5人は苦しいだろうということで、わざわざ知り合いから4ドアのセダンを借りていきました。
事前の準備にも道中にもやたらと時間のかかる難行でしたが、子どもゴコロにすごくワクワクする一大イベントでしたね。

今でも小学生くらいの子どもにとっては、夏休みの家族旅行といえばとても楽しいイベントなのでしょうが、隣の県くらいまっすぐ走ってすぐに行けてしまう環境は、ちょっとかわいそうな気もしてしまいました。
今なら、高速道路の渋滞とサービスエリアの混雑が良い思い出になるのでしょうか?

また、あの緑に囲まれた山道を走ってみたいな。
今度は自分のカメラを持っていこう。

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